第 39 回比較文明学会研究大会テーマと実行委員会委員の決定について

2021/04/19 12:26
広報委員会

  

  

会員各位 

 

第39回比較文明学会研究大会について、開催日程とテーマが下記のとおり決定いたしました。開催形態については、今後の社会状況をみて決定し、改めてお知らせいたします。また具体的なプログラムについては、目下検討中となっております。まずは、大会テーマをお知らせまで。 

 

                        記 

開催日程:2021 年 11 月 13 日(土)~14 日(日) (予定) 

テーマ:「人類共生と文明 ~多数派支配の世界で問いかける思想と実践~」 

趣旨説明: 

 国際連合は、世界が目指すべき 17 項目の「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を 2015 年に定めた。環境問題や貧困問題の解決、健康と福祉の向上など様々な分野の目標が謳われている。これらそれぞれの根底にあるのは人類共存の必要性に対する意識ではないだろうか。換言すれば、現在人類は多くの国や地域で「分断」の危機に晒されているということだ。連帯して共存共栄を目指す社会よりも、「社会における強者」が幅を利かせる社会に私たちは投げ出されているとはいえないだろうか。 

 例えば、移民や難民、LGBTQ などの性的マイノリティ、心身の障がいを抱える者、貧困に喘ぐ者、宗教的に迫害を受ける者などは常に社会の少数派として、多数派という社会の強者との緊張関係に晒されている。時として、力を持った多数派は社会において迫害や差別を繰り返す。それに対する反発として 2020 年にアメリカ合衆国で起きた黒人の生命尊重運動(Black Lives Matter)は記憶に新しい。日本においても在日韓国人などに対するヘイト・スピーチは、法的な規制が進んでいるとはいえ、いまだに消滅していない。同和地区出身者への見えざる差別も厳然と存在している。多くの国では、宗教の多数派が少数派を迫害する現実もある。仏教徒が多数派を占めるミャンマーでは、少数派ムスリムが迫害を受け、インドではヒンズー至上主義者が少数派宗教を弾圧するとの危惧も消えない。世界一のムスリム人口を抱えるインドネシアでも、華僑を中心とした宗教的少数派に対する差別は歴史上消えることがなかった。 

 こうした社会の少数派に対する差別や迫害などの「実践」はどのように生まれ、何によって正当化されてきたのだろう。そこには、それらを阻止する「思想」はなかったのだろうか。文明はこういった人類の行動を是認する「思想」を提出したのだろうか。仏教は平和の宗教だという。キリスト教やイスラームも愛や許しの教えが強調され、神の下の人間の平等も謳われている。しかし、宗教に根差した軋轢は後を絶たない。また、人類を滅亡させることが可能なほどに科学技術は進歩したが、哲学者も科学者もそれに歯止めをかけることはできていない。強者が弱者を多数派が少数派を支配、迫害する現実に対して私たちは文明の役割という観点からこれまでの検証と人類の未来について問いを発する必要があるのではないだろうか。2021 年度に開催される第 39 回比較文明学会研究大会は、多数派と少数派の関係に注目し人類共生の可能性を探求することをテーマとして開催する。 

 

大会実行委員会委員: 加藤久典(実行委員長)、保坂俊司、中牧弘允、小倉紀蔵、島田竜登、吉田晃章、汪義翔、小西暁和、喜多文子、大森一三 

                                              以上 

 

(大会実行委員長 加藤久典)