秋丸知貴『ポール・セザンヌと蒸気鉄道——近代技術による視覚の変容』

2014/07/18 18:51
広報委員(宮嶋)

 

 

 

(晃洋書房・2013年11月・定価3,500円+税) 

 

19世紀における蒸気鉄道の発達は、人類の心性(メンタリティ)をどのように変容したのだろうか? 本書は技術文明論の観点から、同時代のフランス印象派、特にポール・セザンヌの芸術表現に蒸気鉄道による心性の変容が与えた影響を世界で初めて総合的に分析し、セザンヌの絵画芸術を人類史的な近代技術による視覚の変容の昇華の美的・文化的・歴史的な証言記録として再評価した博士学位論文の単行本版である。 

 

目次 

はしがき 

第1章 印象派と蒸気鉄道——マシネズリー(Machinaiserie) からマシニスム (Machinisme) へ 

1 近代性の美学 

2 近代性の画題としての蒸気鉄道 

3 画題上の影響の先行研究 

4 画題上の表現変化 

5 造形上の影響の先行研究 

6 画題から造形への表現変化 

 

第2章 ポール・セザンヌの絵画理論——「感覚の実現」を中心に 

1 先行研究の三類型 

2 自然と感覚 

3 絵画と実現 

4 気質と感覚 

5 外光 

6 モティーフ 

 7 光と色彩 

8 彩る感覚・ある視覚的感覚 

9 構図の集中化・画像の平面化 

10 形態の抽象化・色彩の純粋化 

 

第3章 ポール・セザンヌの造形表現——様式分析による一〇の特徴 

1 視点の複数化 

2 対象の歪曲化 

3 構図の集中化 

4 筆致の近粗化 

5 運筆の水平化 

6 前景の消失化 

7 画像の平面化 

8 形態の抽象化 

9 色彩の純粋化 

10 共感の希薄化 

 

第4章 ポール・セザンヌの最初の鉄道絵画——《ボニエールの船着場》(一八六六年夏) 

1 鉄道絵画とモネ、ゾラ、セザンヌ 

2 一八六〇年代後半におけるゾラとセザンヌの美学 

3 《ボニエールの船着場》(一八六六年夏) 

4 《サント・ヴィクトワール山と切通し》(一八七〇年頃) 

 

第5章 ポール・セザンヌの鉄道画題——自然と近代の対比 

1 エクス・アン・プロヴァンス 

2 パリ 

3 ボニエール 

4 ポントワーズ 

5 メダン 

6 エスタック 

7 自然と近代の対比 

 

第6章 ポール・セザンヌと蒸気鉄道——近代技術による視覚の変容 

1 セザンヌの絵画技法 

2 セザンヌの造形表現 

3 蒸気鉄道による視覚の変容 

4 同時代の証言 

5 セザンヌの絵画理論 

6 セザンヌの鉄道画題 

7 セザンヌと蒸気鉄道 

8 印象派と鉄道乗車視覚 

 

補 章 近代絵画と近代技術——心性の変容の造形的反映 

 

あとがき 

関連年表 

図版