三宅正樹『スターリンの対日情報工作』

2010/08/01 19:11
広報委員(宮嶋)

三宅正樹 

『スターリンの対日情報工作』(平凡社新書) 

2010年8月 

定価:819 円(本体:780 円)   

新書判  256頁  2010.08  

ISBN978-4-582-85540-1 C0221 NDC分類番号 210.7 

 

クリヴィツキーやゾルゲのほか、独ソ戦開戦後、日本政府の内部情報をソ連に流していた日本人スパイ「エコノミスト」など、スターリン政権下におけるソ連の情報収集・工作の多面的な実相を描く。 

 

■目次 

 

はじめに 

 

第一章 クリヴィツキーの諜報活動 

スターリン告発の有力証拠/クリヴィツキーとは何者か/謎につつまれた死 

日独防共協定交渉がスターリンに筒抜け/ヒトラーの粛清に共感したスターリン 

東京・ベルリン間の秘密電報を入手/「クリヴィツキーは幽霊なり」 

清沢洌もクリヴィツキー回想録に注目していた/ニコライ・トルストイとクリヴィツキー 

ドイツ外交の中の反ソ路線と親ソ路線/スターリンの対日政策への影響 

 

第二章 ゾルゲ諜報団 

「ゾルゲ一味に関する外諜事件」/ゾルゲの生い立ち/コミンテルン時代 

赤軍第四本部への移籍と中国での活動/日本渡航の準備/ゾルゲが集めた日本の動向 

尾崎秀実と鬼頭銀一/スターリンの赤軍第四本部に対する不信/尾崎のコミンテルン信仰 

 

第三章 ゾルゲと赤軍第四本部との関係 

曖昧にされ続けたゾルゲの所属機関/ヴーケリッチもコミンテルン所属と信じ込んでいた 

マックス・クラウゼンの認識/クラウゼン夫人の共産主義への嫌悪 

ゾルゲの陳述に頻出する「モスコウ中央部」/手記のなかの矛盾する部分 

中村予審判事の追及/ゾルゲ諜報団の構造/治安維持法で検挙するために 

検察が把握していたメンバーの経歴/検察は諜報団と赤軍第四本部の関係を隠した 

司法省による警告 

 

第四章 オット駐日ドイツ大使が受けた衝撃 

ゾルゲ逮捕をリッベントロップに伝えず/かみ合っていなかった日本とドイツ 

ゾルゲ逮捕直後のオット発電報/新京ドイツ公使館からの電報 

リッベントロップによる詰問調の電報/オットの弁解 

オット、駐日大使を罷免される/ウィロビーとゾルゲ事件 

非米活動調査委員会での吉河検事の証言/日ソ中立条約は「幸福なものではない」 

ハルビン・グループ 

 

第五章 トルストイの暗号解読 

「ミトローヒン文書」/関東軍の通信を監視/ゴルジエフスキーの亡命 

ゾルゲ、逮捕直前の電報/参謀本部の推定した極東ソ連軍の西送の規模 

 

第六章 日本人スパイ「エコノミスト」 

共同通信のスクープ/「エコノミスト」=天羽英二? 

ベリヤからスターリン、モロトフ宛て「特別報告」/天羽と左近司の頻繁な接触 

四一年九月六日の御前会議/もう一人のスパイ、「サトウ」 

メルクーロフからベリヤ宛て報告/ラストボロフ事件と「エコノミスト」/高毛礼の逮捕までの経緯 

ラストボロフ中佐はなぜ米国に亡命したのか/天羽の日記に登場する高毛礼 

ソ連和平仲介へのむなしい期待/ヴェノナ・プロジェクト 

 

おわりに 

 

 

 

 

■概要 

日独防共協定の内容を締結前から完全に把握していたクリヴィツキー、東京を基点に強大な情報網を築き上げたゾルゲ、そして、一九四一年六月に始まった独ソ戦以後の日本の動きについて、核心に迫る情報をモスクワに流していた日本人スパイ「エコノミスト」。スターリン体制下におけるソ連の対日情報工作の多面的な実相を描く。